活動報告

本会議一般質問

令和元年9月 富山県議会本会議 自民党一般質問


問1 SDGsの取組みについて

(1)「環境」面において、「立山黒部」をはじめ本県の豊かな自然環境や生態系を将来に引き継ぐため、現状の認識と今後の取り組みを問う。

生活環境部長 豊かな自然環境や生態系は良好な状態で保全していると認識している。今年度は新たに、

①ジュニアナチュラリスト事業をナチュラリストと合同で実施
②ライチョウボランティア活動5周年の記念活動を実施
③ライチョウサポート隊による保護活動や首都圏でのPR
④県民協働による木道の安全対策や外来植物の除去活動
⑤ナチュラリストによる普及啓発活動への支援

にも取り組んでいる。

(2)「社会」面において、「富山物質循環フレームワーク」の実現に向けた「とやまモデルの確立」に向け、現状の認識と今後の取り組みを問う。

生活環境部長 「富山県SDGs未来都市計画」では、3Rや食品ロス・食品廃棄物対策の推進、県民の環境意識の向上、高度な廃棄物処理技術を有する企業の立地を図り、先進的な「とやまモデル」の確立を目指している。9月補正予算案に、小売店での食品トレイの使用実態等の調査、食品ロス・食品廃棄物削減のためのテレビCMの放送や小売店での啓発支援などを行う事業費を計上した。

(3)「経済」面において、小水力発電等の再生可能エネルギー導入や水素などの新エネルギーの利活用、持続可能な成長に必要なエネルギーの安定供給に向け、現状の認識と今後の取り組みを問う。

商工労働部長 平成26年4月に「富山県再生可能エネルギービジョン」を策定、令和3年度を目標年度とする数値目標などを定め、

①小水力発電は、目標の45箇所に対し、48箇所が整備され、設備容量は全国1位。また、
②太陽光発電では、目標の発電容量を大きく上回る設備導入、
③地熱資源では、県企業局にて開発可能な発電出力を把握の掘削調査を実施している。さらに、新総合計画では、整備箇所の目標値を見直し、メタンハイドレートの開発に向けた取組みを盛り込んだ。

(4)SDGsのゴールの達成に、多様なステークホルダーの一致協力した取組みと県民の理解の増進が急務と考えるが、今後の取組みについて問う。

知事 幅広い関係団体で構成する「富山県SDGs推進連絡協議会」を新たに立ち上げ、第1回会議を去る9月12 日に開催した。また富山県SDGs未来都市選定記念フォーラムの開催や、TGC富山2019に県ブースでのPRほか、富山駅のデジタルサイネージをはじめ、各種広報媒体でのPRなどを通じ周知に取り組んでいる。


問2 クールジャパン戦略について

(1)本県において、デザインを軸とした様々な取組みがなされてきたが、これまでの取組みをどう評価するのか。

商工労働部長 総合デザインセンターを核に、ソフト・ハードの両面から様々な支援を行い、県内では自社商品ブランド化に成功して海外へ販路を拡大している企業や、世界で活躍するデザイナーとマッチングした商品開発を行う企業が現われるなどの成果も出てきており、デザイン先進県としての評価が高まっていると認識している。自社の高い技術力を発信するには、デザインの活用が一層重要となることから、センター機能充実に努め支援に取り組む。

(2)ローカル・クールジャパンの推進には、世界に通用するとやまブランドの更なる魅力向上が必要だが、どう取り組むのか、問う。

知事 海外向けブランド戦略として、

①観光や食では、海外での観光プロモーションの展開や日台観光サミットや世界で最も美しい湾クラブ総会等でのPR、フード・エキスポやミシュ ランガイド等による食の魅力発信。
②県産品のブランド力強化では、伝統工芸品の海外での展示、実演、富山の農産物や加工食品の展示販売等による海外での発信。
③産業では、スイ ス・バーゼルや台湾での交流協定等による薬やデザイン分野での連携、ものづくり総合見本市の開催などにより、積極的に海外に向け発信・PRしてきた。 今後は、国の施策の方向性も参考に、世界に通用する本県の産品や産業を個別分野ごとの深堀を進め積極的にPRする。海外のPRにはもっとSNSを活用する。


問3 児童虐待の防止について

(1)児童虐待防止に向け、情報共有の在り方と今後の取組みについて、問う。

厚生部長 関係機関との連携や情報共有による迅速な対応が重要であり、これまでも連携強化に努めてきた。児童虐待相談対応件数の増加は、取組みの進展により、児童虐待につながる恐れがある事案をより広く、早期かつ的確に把握できていることも背景にあるのではないかと考える。
また、要保護児童対策地域協議会の個別ケース検討会議において、市町村、保育所、学校、医療機関、警察、民生・児童委員の関係機関が適切な役割分担のもと連携を密にし、継続的な支援を行っている。さらに、去る8月の第1回目の児童虐待防止対策・社会的養育推進計画検討委員会において、9月補正予算案に、児童相談所の情報管理システムの構築費を盛り込み、市町村との情報共有においても検討することとした。

(2)児童虐待は、親の幼児体験に起因し、世代を超えて連鎖することがあると言われ、この負の連鎖を食い止めるには、保護者への精神的支援が必要であるが、これまでと今後の取組み について、問う。

厚生部長 保護者に被虐待歴があった場合は、児童福祉司による生育歴と虐待の関係に留意した指導を行い、重篤なケースには、精神科医によるカウンセリングを行うなど、個々に応じた相談援助を行っている。また、職員への研修の定期的な実施のほか、5年経験を有する児童福祉司を指導・教育を行う職員として配置し、職員の資質向上に努め、さらに、保護者支援にかかる実践的なスキルに関する研修の実施を考える。

(3)児童虐待の一因として「家庭の貧困」が考えられるが、家庭の所得向上による貧困対策にどう取り組むのか、問う。

厚生部長 県では市とともに、これまでも

①就労支援員によるキャリアコンサルティング
②就労準備支援
③住居確保給付金の支給

などに取り組んできた。また、「ひとり親家庭」の親に対しては、

①「経済支援」として、児童扶養手当の支給、医療費の助成、修学資金の貸付、放課後児童クラブ利用料等の助成
②「就労支援」として、就労相談や就業支援講習会の開催、資格取得に係る給付金の支給

などに取り組んできた。今後とも、市町村と協力し、総合的な貧困対策に取り組む。

(4)0歳~18歳の発達障害等の子どもたちとその保護者に対し、福祉と教育が一体となった支援を実施する体制を構築すべきと考えるが、所見を問う。

知事 発達段階に応じた切れ目のない支援を講じることは重要で、支援体制の整備を進めてきた。平成29年から「富山県発達障害者支援地域協議会」に改組し、保護者支援も新たに取り組んでいる。また、福祉部門と教育部門のあり方についても検討し、個別の事案については、関係機関が連携し、地域における切れ目のない支援にも取り組んでいる。


問4 県民の福祉の充実について

(1)地域包括ケアシステムの構築に向けたこれまでの取組みと今後の方策について、問う。

厚生部長 これまで

①県在宅医療支援センターによる開業医の連携・グループ化の支援
②医療・介護関係者の相互理解の促進による連携強化
③要支援者に対し、見守りや安否確認、買い物代行等を行うケアネット活動や老人クラブの会員が行う見守り活動への支援

などに取り組んできた。本年度からは、新たに小規模な訪問看護ステーションの支援を行う「訪問看護サポートステーション」を医療圏ごとに設置し、在宅サービスの充実を図っている。

(2)県内の地域包括ケアシステムにおいて、認知症の人への対応状況はどうか、また、人100年時代を見据えた生活習慣の改善など、今後の取組みについて、問う。

厚生部長 県では、

①認知症理解の促進
②認知症サポート医の養成、かかりつけ医等への認知症対応力向上のための研修、認知症疾患医療センターの設置や、市町村の「認知症初期集中支援チーム」等への支援による地域での医療の確保
③地域密着型介護施設や、在宅サービスの充実

に努めている。認知症の予防として、

①生活習慣病を予防する食生活の改善や運動習慣の定着
②高齢者の社会参加への支援などに取組み
③今年度新たに、「ねんりんスポーツフェスタ」を開催、脳トレーニングや認知症相談会を開催し、発症の遅延や進行予防にも取り組む。

(3)「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」を構築の必要があるが、現状と今後の対策について、問う。

厚生部長 これまで、自立支援医療、精神科救急医療体制を運用し、厚生センターにおいて継続的に本人や家族を訪問し、相談援助等を行っているほか、心の健康センターにおいて複数職種チームによる訪問支援などに取り組んでいる。平成30年度から、新川圏域をモデル圏域に設定し、1名を自宅退院に、2名を障害福祉サービス事業による継続支援につなげ、現在も取り組みを進めている。今年度は高岡・砺波の2圏域を設定、富山圏域も準備を進めており、来年度には、県内全域において整う。

(4)県の重度心身障害者等医療費助成制度では、65歳未満の重度身体障害者や知的障害者を対象としているが、精神障害者は対象ではないが、地域生活を支援するために助成対 象としてはどうか。

知事 精神障害者に対する医療費助成については、通院に係る医療費について自己負担の3分の2を公費で助成し、利用者負担を3割から1割に軽減する国の制度が講じられている。加えて、精神保健福祉法で、入院医療中心から地域生活医療の実現を目指しており、県では、精神科救急医療体制を運用とともに、各種福祉サービスを提供など、身体・知的障害に比べ、相当手厚い支援を行っている。一方、国に対して、重度の障害者の一般診療の自己負担について、年齢で区分することなく、負担能力等に応じた自己負担制度を要望。県内では現状等について、一部の市町村の担当者と意見交換を行っている。今後、有識者や関係機関の意見も伺い、医療費のあり方について早期に一定の方向性でまとめるよう努める。

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